オランダで学んだ心の豊かさ

昨年の9月に一ヶ月休みを取って旅行で訪れたオランダ、フランス、イタリアでの思い出について綴りたいと思います。

旅のテーマは「暮らすように旅する」。その土地に暮らす人々の価値観を知りたかったので、宿泊はホテルでは無く全てAirbnbを利用して、ホストさんが滞在する住まいに宿泊しました。

まず最初の土地はオランダ・アムステルダム。19歳の時に初めての一人旅で訪れて以来、15年振りです。

猫と暮らすBiancaさんの住まいは、自然光と彼女の選んだインテリアがマッチしてとても居心地の良い空間でした。お花を活けたり、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」の本が置いてあったのも印象的で、都会にいながら心のゆとりを感じる住まいの作りができるのだろう・・・と、不思議に思いました。

また東京の住宅に比べて、電気が明るく無いのも良かったです。当時私が住んでいた下北沢の木造の小さなアパートの電気ですらピッカピカに眩いほど部屋を照らしてくれていましたが、一方で仕事で放出しているアドレナリンが、家に帰ってからも出続けていたのではないかと思います。

初日はスマートフォンの充電器が使えなくなった事から、Samsung Service Centerを検索して、息も絶え絶えな充電のバッテリーにかなりの不安を覚えながらNOORDという街で充電器を購入したところからスタート。


アムステルダムでは主に美術館を回る日々でした。

Google mapを使って検索したり、オランダ人の友人に教えてもらったり、街歩きで偶然見つけた場所に入ってみたり。

観光客で賑わっているゴッホ美術館から、オランダ人のアーティストが集うエキシビジョンまで。伝統的な絵画やモダンアートなど、ウィットに満ちたオランダ人の心の豊かさを感じるようなものばかりで、沢山の刺激をもらいました。

こちらは彫刻家のAstridさん。素敵な佇まいだったのでお声がけをしたら、快くご一緒にお写真を撮って下さいました。初めて会った観光客の私に、ご自分のパーソナリティーもオープンにお話しして下さって、ありがたい限りでした。国や、人種、言葉、文化は違えど、最終的には「人間」に辿りつきます。

アムステルダム最終日の夜はFabrique des Lumièresというプロジェクションマッピングを活用した美術館へ。

クリムトのエロティシズムな世界観の美しさも去ることながら、それよりも驚いたのは、平日の仕事終わりの時間帯に私と同世代であろう人達が美術館に来ていること。

なんと体力と心にゆとりがあるんだろうと思いました。

東京の暮らしでは、仕事が終わったらへとへとでどこかに出かける気持ちになれず・・・それに同世代の人達の接点もほとんどありません。

それに日本の美術館の多くは18時ごろに閉館してしまうのでは無いでしょうか。こちらの美術館は平日の21時までオープンしていました。
聞く話によると、オランダの人達は17時頃には仕事を終えてサッと帰宅して、家族やパートナー、友人との時間を大切に過ごすそうですね。

社会の仕組みがまるで違う事に愕然としました。

この日常のルーティンを繰り返しながら大人になるのとでは、まるで人生が違う。

後に私がフリーランスになるインスピレーションの一つとなりました。

最後の写真は、アムステルダム市立美術館内にあったジェンダーフリーのトイレ。

中に入るとシニアのご夫婦が仲睦まじく利用されていました。

マイノリティーにも目が向くなんて、国家としてゆとりがあるなぁと、しみじみ感じます。

坂元千夏

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